AI時代を生き抜く実践ノート - 2026年6月29日
AI時代を生き抜く実践ノート|2026年6月29日
1. AI:GLM-5.2 ― 完全無料で使えるトップクラスのLLM登場
所要時間: 30分(インストールから最初の実行まで)
中国のAIスタートアップ Z.ai が2026年6月16日に公開した GLM-5.2 は、現時点でオープンウェイト(公開モデル)の中でトップクラスの性能を誇るLLM(大規模言語モデル)です。
そもそもオープンウェイトって? 「重み」とはAIが学習で獲得した知識の塊です。これが公開されると、誰でも自分のサーバーや自分のPCで動かせます。GPTやClaudeのようにAPIにお金を払わなくていい、ということです。
スペック(数字の意味も解説)
| 項目 | 値 | 意味 |
|---|---|---|
| 総パラメータ数 | 753B (7530億) | モデルの「知識容量」。GPT-4相当かそれ以上 |
| アクティブパラメータ | 40B | 1回の推論で実際に動く部分。実速度はここで決まる |
| アーキテクチャ | MoE(混合専門家) | 全体は巨大でも「必要な専門家だけ呼ぶ」効率構造 |
| ライセンス | MIT | 商用利用も改変も無制限で自由 |
MoEを簡単に言うと? 「753人の専門家がいるが、1つの質問に答えるのはそのうち40人だけ」というイメージ。全員を動員しないので高速。
手順(ローカルで試す)
- Ollama をインストール (ollama.com) — LLMをローカル実行するツール
- モデルをダウンロード:
ollama pull glm4:40b # 量子化版で約25GB - チャットを開始:
ollama run glm4:40b - 性能を確認: Artificial Analysis Intelligence Indexのスコアをみると、GLM-5.2はオープンウェイト部門でトップです
- API経由で使う場合: Z.aiのAPIをChatGPTのOpenAI互換形式で呼び出せます
今日から試せること
- Ollamaで自分のマシンにGLM-5.2(量子化版)を入れて、社内の機密ドキュメントに対してQAを実験する
- プロプライエタリLLM(Claude/GPT)とGLM-5.2の出力を比較して差を把握する
2. ソフトウェアテクノロジー:「AI時代のアプリ開発」はデスクトップパブリッシング革命と同じ
所要時間: 1週間(AI開発ワークフロー習慣化まで)
Hacker Newsで話題になっている「2026年のアプリ開発の実態」スレッドでは、エンジニアたちの率直な声が集まっています。
デスクトップパブリッシング革命とは? 1980年代、DTPソフト(PageMakerなど)の登場でデザイナーの仕事が激変しました。「手作業でレイアウトする職人」は消え、「ソフトを使いこなすデザイナー」が主流に。でも「デザインする人」は消えなかった。
Simon Willison(著名な開発者・LLM評論家)も「AIチームは不連続な飛躍を遂げている。普通の技術変化と違い、待っていれば慣れる類のものではない」と警告します。
AIを使った開発ワークフロー(ジュニアでもできる)
- 要件定義を自然言語で書く:
「ユーザーが〇〇できる機能を作りたい。技術スタックはNode.js + PostgreSQL」 - Copilot / Claude Code に実装を依頼: 関数単位でAIに書かせ、自分はレビューに集中
- テストもAIに生成させる:
「この関数のユニットテストを書いて」 - コードレビューはペアプロ形式: AIと対話しながら「なぜこの実装?」を学ぶ
- 自分の武器はアーキテクチャ判断力: AIが書けるコードが増えるほど、「何を作るか」「どう組み合わせるか」の判断が差別化になる
今日から試せること
- 次のPRを出す前に、Claude CodeやCopilotで「このコードのセキュリティ問題を洗い出して」と聞いてみる
- 自分のAI開発ワークフローをチームに共有して、ベストプラクティスを積み上げる
3. セキュリティ:WindowsセキュアブートCA証明書が2026年6月に期限切れ ― EC2への影響と対策
所要時間: 30〜60分(対象インスタンスの確認と対処)
セキュアブートって? PCやサーバーが起動するとき、「このOSは本物か?」を証明書で確認する仕組みです。証明書の期限が切れると、起動確認ができなくなる = 最悪の場合インスタンスが起動不能になるリスクがあります。
影響を受けるケース
- AWSのEC2でWindowsインスタンスを運用している
- UEFI + セキュアブート有効構成(特にG5世代以降の一部インスタンス)
対処手順
- 対象インスタンスの確認:
aws ec2 describe-instances --query 'Reservations[*].Instances[*].[InstanceId,PlatformDetails]' --output table - AWS公式パッチを適用: Systems Managerの
AWSPatchManagerでWindows Updateを実行 - AWSが提供する新しいセキュアブートCA証明書を取得: AWS Consoleの「UEFI Secure Boot」設定から更新
- スナップショット取得後に再起動テスト: 更新前に必ずバックアップ
- モニタリング: 再起動後にSystem Logを確認し、セキュアブートエラーがないか確認
今日から試せること
- AWSコンソールで自チームのEC2 Windowsインスタンスを確認する(10分)
- 本番環境への影響を上長に報告し、対応スケジュールを立てる
AIによる考察
今週のトレンドから見える大きな流れは「オープン化の加速」です。
GLM-5.2がMITライセンスで753Bパラメータのモデルを公開した事実は、1年前では考えられなかった。つまり「AIは高価なAPIを買う時代」から「自前で動かす時代」への転換が始まっています。
一方でセキュリティの問題は変わらずリアルです。WindowsのSecure Boot証明書切れは「わかってはいたが後回しにしていた」インフラ負債の典型。AIが開発速度を上げるほど、基礎インフラのケアが追いつかなくなるリスクが高まります。
ジュニアエンジニアへの提言:AIを「コードを書いてくれる便利ツール」としてだけ使うのではなく、「インフラとセキュリティの問題を発見するパートナー」として使ってください。AIに「この構成の脆弱点は?」と聞く習慣が、あなたをシニアエンジニアに近づけます。
関連記事
1. GLM-5.2 is probably the most powerful text-only open weights LLM
Simon Willison, 2026-06-17
Z.aiが2026年6月13〜16日にリリースしたGLM-5.2は総パラメータ753B、アクティブ40BのMoEアーキテクチャ。MITライセンスで公開されており、Artificial Analysis Intelligence Indexでオープンウェイト部門首位。ChatGPT互換APIでも利用可能。
🔗 https://simonwillison.net/2026/Jun/17/glm-52/
2. WindowsセキュアブートCA証明書の期限切れ(2026年6月)とEC2への影響について調査してみた
DevelopersIO(クラスメソッド)
WindowsのセキュアブートCA証明書が2026年6月に期限切れを迎え、AWSのEC2インスタンスに影響が出る可能性。UEFI + セキュアブート有効のWindowsインスタンスが対象で、適切なパッチ適用と証明書更新が必要。スナップショット取得後に対応することを推奨。
🔗 https://dev.classmethod.jp/articles/windows_secure_boot_ec2_impact/
3. Ask HN: What Is the State of App Development in 2026?
Hacker News
「AI/LLMはアプリ開発に何をもたらしたか?」を問うHNスレッド。AIによる変化を1980年代のデスクトップパブリッシング革命に例える声が多く、「職人的コーディング」の価値低下とアーキテクチャ判断力の重要性上昇が議論されている。
🔗 https://news.ycombinator.com/item?id=48337409
リサーチノート: simonwillison.netおよびdev.classmethod.jpはWebFetchで403エラー。検索スニペットを情報源として使用。